福岡市在住の日隈優輔君(22)が、今シーズン、フランス・ノルマンディーのチームで走っています。大学に入ってからロードレースの魅力にとりつかれたH君。「絶対に本場フランスで走りたい」と夢を語ってくれたのが昨年夏。恒例の南米ヒルクライム前後でした 。
今シーズンは、国内の有名クラブチームで走り、一段ステップアップをという話が急転直下、フランス武者修行が実現しました。夢の実現に向けて、一生懸命に動いたのが実を結んだようです。後ろ向きな若者(だけじゃないけどね)がとかく話題になりがちなだけに、その前向きで積極的な姿勢は、くたびれたおやぢを久しぶりに爽快な気持ちにさせてくれました。
こういう若者がいることを、私なりに知らせたいとの申し出に、メールでのレポート送信を快諾してくれました。レースそのもの、レースを取り巻く環境、ヨーロッパの自転車事情etc・・・。ハードなスケジュールの合間を縫って知らせてくれる生の声は、きっと役に立つと思います。前のページからどうぞ

<2005/5/3>

4月30日、5月1日とバイユーのステージレースを走ってきました。カテゴリーはレジョナル、このカテゴリーでの勝利を今年の目標にしています。
第一ステージ108キロラインレース、第二ステージ個人TT7キロ、第三ステージ90キロラインレース。と距離は短め、そのためペースが上がることが予想された。
先週のステージレースの第一ステージはMG(山岳ポイント)が6箇所もあり、そこそこきつい登りもあったのにアベレージ速度は44,6キロ。リザルトを見てびっくりした。

第一ステージ、今日はチームでまとまって、レースの主導権を握ることをミーティングで話し合った。逃げには最低一人送り込み、逃げに乗り遅れればチームで追う作戦をたてた。
レースは序盤からアタック合戦。鳴谷選手が前でアタックに反応してる、自分とゴウは真ん中で様子をうかがっていた。鳴谷選手が下がってくると、今度は自分達の番だ。
前半はみんな元気でなかなか逃げが決まらない。中盤にレースが動いた。7〜8名の選手が抜け出し集団の前方にいる選手はお見合いしている。
自分は右にも左にも行けない位置にいていけなかった。チームでは誰も乗ってない。 この逃げはつかまらず、集団と20秒の差がついた。選手を前に送り込めなかった、VCルーアン、ダイハツ・ボンシャンス、トリコロールカラーのチームが協力して追った。
ローテーションもきれいにまわり、順調に差をつめていたのだが前に選手を送り込んでるチームの選手がローテに割って入る。しつこく繰り返していると、自分の隣でその選手とルーアンの選手の喧嘩がはじまった!お互いにつかみかかろうとする勢いだ!
偶然となりにいた自分は手を上下に振り、落ち着けと促がす。自然に体が動いた…。フランス人の喧嘩を止めに入る謎の日本人、なんともおかしな光景だったに違いない。 おかげでローテは空中分解、そこからコースがきつくなったこともあり二度とまとまることはなかった。終盤、逃げをつぶすのをルーアンとトリコロールに任せてしまった自分の力の無さが悔しかった。結局8人の逃げに30秒の差をつけられて逃げ切られてしまった。

DAIHATSU Bonne Chance! Yusuke HIGUMA

<2005/5/3>

第二ステージ 個人TT7キロ
アップの段階で調子の悪さを感じていた、カーペーサーで60キロ以上出されるとついていけない、足が回らない。ペーサーでアップをしてスタート位置につく。とにかくベストを尽くすことを考えたが足は回らず。真ん中ぐらいの順位で終えた。フランスにきて一か月、休みを取る間もなく走り続けたので疲れが溜まってたのかもしれない。

第三ステージ 90キロラインレース
ミーティングで「とにかく逃げに乗れ!乗れなかったら絶対つかまえろ、それで力を出し切ってもかまわない。日本人の力を見せて帰ろう」と監督から。毎レースが僕らにとってアピールの場。無駄にしたくない!1ステで情けないレースをしただけに気合が入る。しかし足は重い…。
いつものようにスタート直後からアタック合戦、先週のレースの3ステでは結構早いうちに逃げが決まった。みんな疲れてるので決まりやすいと思い序盤から前へ。10人ほどの逃げができ、見えなくなった。「やばい!」直感的に感じてあわてて自分もアタック、5人のフランス人がついてきて一緒に追う。追ってる最中は地獄だった。きつくてきつくてやっぱり追いつくのは無理だったか…なんて思ってると、フランス人が「アレジャポネ、アレアレ」と言ってくる、一人でも多いほうが楽だからだろうか自分を励ましてくれてるのだろうか…?
やっと逃げ集団が見えてきて、追いついた。18人に増えたことにより楽になった。少し集団後方で休ませてもらい、ローテに加わる。順調に後ろの集団との差もひらき1分以上はリードしてる。このまま逃げ切れそうだ。
ラスト10キロを切ってからはアタックのかけあいがはじまった!複数の選手を逃げに送り込んでるチームはかなり有利だ。自分のチームは一人なので慎重に反応しながら抜け出す機会をうかがった。あとは「勝つための」アタックをどこでしかけるかだ。たとえアタックしてつかまって逃げの最後尾でゴールしても誰からも責められない。
勝つためにはリスクをおかさなければならないと福島さんから教わった。強い選手についていくレースをしているわけではない、勝つためのレースをするためにフランスまできてるのだ。
行くっきゃない!しかし、周りがアタックを繰り返して、反応している間に残り1キロを切った。もう後はスプリントで勝負だ。その場合位置取りが重要になる。最終コーナーは危険と監督会議で説明があったとミーティングで聞いていた。できるだけ前の方でクリアしたい。そこを5番手ぐらいでクリア、残り400メートル「いける!」全力で踏んだが足は回ってくれなかった。苦手じゃない分野だったにもかかわらず勝てなかった。
しかし良い感触をつかんだ。次のレースも積極的に逃げにのって勝つための走りをしたい。

DAIHATSU Bonne Chance! Yusuke HIGUMA

<2005/5/4>

今日はフランスに来て初めての全休。自転車にまったく乗らない日だった。
しかも今日はちょっと違った休養の取り方にチャレンジ。それはフルーツしか食べないというもの。これは福島選手が実践しているもので、今回初チャレンジ!
普段、過激な運動をしていると身体が酸化して錆び付くらしい。それをアルカリにするためにフルーツを食べるらしい。 また一緒に天然炭酸水を飲む(ペリエなど)。これもミネラルを多く含みアルカリの性質があるらしい。
朝起きて、りんご2個、バナナ2本、イチゴ2分の1パック。
昼に、パイナップル2分の1個、キウイフルーツ1個、バナナ1本、オレンジ3個。
おやつに、りんご1個。
夜に、アニーの作ってくれた謎のフルーツの煮物(形はセロリみたいで繊維質なフルーツ(野菜か?)を鍋で煮たもの、 とオレンジジュース(オレンジを2個搾って)、バナナ1本。
夜食にりんご1個。

とまぁこんな感じ。アニーの作ってくれた煮物は不味かった、人生でもワースト10にはいるぐらい。かなりすっぱく、後味も表現しにくい味でした。 夕食中は隣でアニーが美味しそうな豚の血ソーセージを食べていて辛かった…。 今日一日、糖質と水分だけで生活した感じがした。 医学的な根拠はないと思いますのであまり試さないほうがいいかも。でも、昨日アニーに明日は果物しか食べないからって言ったときの反応が普通だったので、こっちの選手の間ではポピュラーな休養なのかも…?
PS、ヘリテイジツアーの日程が前倒しになり7日スタートになりました。6日に到着で翌日からレースの強行スケジュール。しかもスタート時間は朝5時!さすがタイ人、このての変更にはだんだんなれてきました。

DAIHATSU Bonne Chance! Yusuke HIGUMA