風を切って息を上げて、心ゆくまで楽しんだら汚れを落として愛車の労をねぎらってあげませんか。
磨き上げられた自転車は、オーナーの愛着が感じられてとても気持ちの良いものです。反対に、いくら高級車に乗っていても薄汚れていたら、この人は自転車が好きではないんだな。と思ってしまいます。
ただ自転車をきれいにするだけじゃぁない。故障、トラブルを防ぎ、安全なサイクリングをするために愛車を長持ちさせるためにメンテナンスは欠かせない。
「メンテの神様」は絶対にえこひいきしません。5万円のクロスバイクだろうが100万円超のロードレーサーだろうが、きちんと手入れをする人だけに味方をしてくれるのです。

保湿:革の手入れはすべてこのため>
オイルってぬるぬるしているせいでしょうか。革に塗ると、滑りやすくなる、そのために手入れしていると思われがちですが、逆です。
オイルを塗る(というか染み込ませる、だな)と滑りにくくなります。油分が革を柔らかくしっとりとさせてくれるんですな。オイルで手入れするのはこのため、といっていい。
こうなった革は滑りにくくて体に馴染みます。ちょっと人気を集めている革製バーテープ、素手で握っていれば手の脂が染み込んで具合が良くなるのですが、安全との関係でグローブをしますから、なかなかそうはいきません。
オイルを薄く塗ってやる、繰り返しているといい色になってきます。サドルオイルでは固すぎて塗りにくいし、油分がべっとりと付いているようではかえって滑る。
上等な革製品用にゲル状のオイルが市販されています。
これがぴったり。私はMowbrayの「デリケート・クリーム」を愛用しています。染み込みやすいし、ちょっとミントっぽい香りでサドルオイルみたいに臭くない。いいですよ。
ちなみにこれをサドルに使ってもあんまり効果はないみたい。何にでも適材適所、ってあるんですな。
2011/6/11

<タイヤ編>
リムテープ:縁の下の力持ち>
スポーツ用自転車のタイヤは、チューブの入ったWO(やHEなど)とチューブラーとに大別されます(最近注目のチューブレスはどしたい? とゆー突っ込みは置いといて)。メンテのキモは基本同じだけれども、個別の事情によることも多々あります。それぞれ見ていきましょう。
WOの方が特に注意していただきたいのが、リムテープ。リムには一部の高級品を除き、スポーク用の穴が空いています。リムテープは、チューブがこの穴に膨らんで入り込むのを防ぐパーツです。ロードバイクは6〜8気圧という高圧を入れます。リムテープがヤワだと、限界を超えて膨らんでバーストしたり、スポーク先端と接触してパンクしたりと重大なトラブルを引き起こします。
安物は、新品の時はしっかりしていても、すぐに写真のように性が抜けて役に立たなくなってしまいます。
普及品のロードレーサー等は、たいていここをけちってます。少なくとも1年に1回は点検を忘れずに。できたら信頼の置けるメーカー品に替えましょう。自分で作業すれば前後2000円もあれば十分です。豪快なダウンヒルを楽しんでいる最中に、タイヤ内側からバースト、なんて経験したくないですもんね。
良心的なショップは、つまらんリムテープが付いてきたら、追い銭なしでちゃんとしたものに交換しています。
おまけ。テープの継ぎ目やバルブが入る部分って、角が立ってますよね。ここもチューブと擦れてパンクの原因になります。ハサミで角を落とした方がいいですね。
2011/6/26

空気圧管理:メンテで一番大事>
これ、タイヤのサイドが裂けています。
経験の浅いお客様でしたが、下りで突然前輪が暴れ出し落車こそ免れたものの大変怖い思いをしたとか。何とか自転車を止めて調べてみたら空気が抜けていた、と。何かが刺さった様子もなく、穴ぼこに落としたことも記憶にないとかで、なぜだ、と持ち込んで来られました。
これだけ見事にサイドが裂けるのは「スネークバイト パンク」しかありません。チューブにも同じ所に同じような裂け目ができていましたね。これ、大きな段差に落としたり乗り上げたりしてリムがチューブやタイヤを強く圧迫して起こるパンクですが、急激に空気が抜けるのでWOにとっては大変怖いトラブルです。防ぐためには、何よりも適正な空気圧を保つことが大事。
ロードレーサーのタイヤ、見た目は変わりなくても、1週間もすれば1気圧程度は抜けてしまいます。5気圧程度に下がれば、スネークバイトの危険は急増します。命が惜しかったらずぼらをせずに、走り出す前に空気を適正圧にして乗りましょう。
2011/7/16