MASI。数あるイタリアのチクリの中でも知る人ぞ知る老舗です。日本では、なぜか九州は福岡・南米商会が90年代から2000年代半ばまでオーダーを受けていました。発注する数は年間10本前後と決して多くはありませんでしたが、このフレームを何本も見ていると、自転車の奥深さ、面白さを改めて認識させられます。

オーバーサイズの丸チューブを内ラグでつないだマシン。ヘッド部にイタリアンカットのラグが見えます。パイプの継ぎ目をわざと残してパイプに細く盛り上がったロウ付けの痕があるのが特徴です。
TIGと同様、デダチャイ・ゼロ。TIGに比べて硬く、比較的安く、早く製作できるためガンガン乗る人向きでしょう。ただし頑丈な分、重くなりますが。アルミ全盛のころオーダーが減ってしまい、内径が特殊なパイプの入手が難しくなったとかで現行ラインナップからは外れたことがありました。アルベルトは結構このモデルに思い入れがあるようで、「何とか生産続行を」という南米商会の声に「うれしい」と話しており、パイプの供給をデダチャイと交渉した結果、製作を再開したということもありました。
残念ながら2003年にこのモデルのオーダー受注は終了。そういった事情もあり、棲息数が少なく写真に残しているものはわずかです。まだ死蔵している仲間もおりますが…。
その後、MASIは東京のショップが大々的に宣伝して取り扱っていますが、一品ものと吊しは極端に仕上げが違います。これは自転車に限らず、イタリアものによくあることですが。
ちなみに3Vの「V」はVOLUMETRIC、「大径」ぐらいの意味とか。メーン三角に、オーバーサイズのパイプを使っていることに由来するものでしょう。フレーム重量2.0kg(530mm) 当時は17万円前後でオーダーできてました。

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