MASI。数あるイタリアのチクリの中でも知る人ぞ知る老舗です。日本では、なぜか九州は福岡・南米商会が90年代から2000年代半ばまでオーダーを受けていました。発注する数は年間10本前後と決して多くはありませんでしたが、このフレームを何本も見ていると、自転車の奥深さ、面白さを改めて認識させられます。

アルミフレームの流行で、生産量は主力になっているらしいモデル。パイプはデダチャイSC61.10A。一時は、ビードを落として滑らかにする仕上げをしていましたが、2000年夏入荷分からビードを出したままになっています。デダチャイが「強度の保証はしない」とアナウンスしたためのようです。フォークはクロモリとカーボンが選べました。カーボンは、最初アドバンス、2001年後半からミズノになっています。クロモリは、後ろに潰しを入れた独特の5角形で、わずか550gと超軽量なのに抜群の乗り味を示します。
フレーム重量1.2kg(530mm)当時25万円超でした。
ただし、南米商会を通じてビードを落としたモデルが4本、その後のモデルも数えるほどしか入っていません。むしろカーボンバックの方が多かったかな? この頃のアルミフレームは長く使っているとヘッドにクラックが入ってしまいます。アルミにヘッド小物を圧入してんだから、そりゃ無理が掛かるわな。ということで現在も乗れるフレームは、はて何本あるんだろ?
アルミらしい鋭い加速感。軽い踏み出し。そのくせ腰にこない不思議な乗り心地を堪能できました。
(追記)
SC61.10Aよりもさらに薄いU2を使ったモデルも短期間造られ、覚えている限りでは1本入ってきています。常連さんが乗っていたのですが、運悪く事故でぽしゃってしまったと記憶しています。

ここから先は本当のところが分からないので、与太話。
ところで、MASIがアルミフレーム用に設備投資をしたという話は聞いたことがなかったので、これどこで造ってるんだ? と話題になりました。そんなころにINTER MAXが独自ブランドのアルミフレームを売り出し、これのビードの具合がMASIとそっくり。見事に真っ直ぐ走る乗り味もよく似てて、「同じところで造ってるんじゃないの?」と話しておりました。
何かの雑誌だったか、インターネットの動画だったか、刑務所で職業訓練にアルミフレームを造っている画がありまして、これのビード具合が同じなんで「ここだろう」とも言われてましたね。
詳細写真