スポーツとして自転車に乗る人が増えています。
メタボ対策、地球温暖化、原油価格の高騰etc 環境と健康に優しい自転車の良さを知っていただくのは中学生のころからサイクリングに染まっていた間もなく老人としては大変嬉しいことです。
ただ、自転車、特にロードレーサーは一般に考えられているよりはるかに速い乗り物です。公道を走る以上、常に危険と隣り合わせであることを忘れては困ります。信号無視をはじめとする交通ルールを守らない行動は、自分がケガをするだけでなく、人様を傷つけてしまうことになりかねません。車やオートバイなどと一緒に道路を走る交通社会の一員として、上手に走るノウハウを覚え、マナーを守って走ることが、社会の自転車に対する理解につながると信じています。
ここで紹介する事柄は、あくまで公道上で事故を起こさないためのノウハウやマナーです。競技としての走り方と一致するとは限りませんので、その点を十分ご理解下さい。速く走るだけが能じゃない。社会においては「
無事之名馬」なのです。

ヒザに余裕を(ポジション編・4)
ペダル、サドル、ハンドル。三つの「ル」を正しくセッティングしたら、サドルの高さを決めましょう。
左の写真の通り、ペダルがサドルから一番遠い所(フレームに角度がついていますからクランクの下死点ではありません)にある時でもヒザが軽く曲がっているのが、基本の高さです。
かかとは地面と平行にしておきます。
もうひとつ、大事なことはこの時に決して尻を動かさないこと。シートポストを上げて格好良く乗りたい気持ちは分かりますが、ペダルを踏む事に尻を動かすようでは、自転車は真っ直ぐに走りません。
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先に「基本の高さ」と書いたのは、かかとの角度、ヒザの余裕度合いに個人差があるからです。これはもう、実際に走ってみて調整するしかありません。
下死点でかかとが高く上がっても平気な人はかなりサドルが上がる。逆に下死点でもほとんどかかとが水平、と言う人はサドルが低めの傾向にある。
さらに細かく言えば、使っている靴のソールの反り具合まで関係しているので、ここまでくるとベテランのアドバイスを受けないとどうしようもない。
まぁそこまで行かずとも、一般的にスポーツ用自転車に初めて乗る場合、かなり低めにセットして乗り始める方が多いと思います。だんだん慣れてくると力も付いてくるので、サドルを上げますね。しまいには尻が動くほど高く上げて乗っている例も見ます。これはダメです。
サドルは高めの方が力は出ます。ただしヒザの負担が大きくなる、疲れやすい、自転車の取り回しも難しくなる、などのデメリットを考えると素人のサイクリングでのサドルの高さは、「基本の高さ」プラス1cmぐらいが許容範囲、といったところでしょうか。
2008/10/12

サドルの前後位置も、大切(ポジション編・5)
サドルの高さと同じぐらい大切なのが、前後位置です。これは、クランクを3時の位置にして決めます。
右の写真のように、ヒザの中心からの垂線上にペダル軸が来るようにサドル前後位置を調整しましょう。これが基本。
またしても「基本」と出てきましたが。(^_^;)
「基本」よりもヒザを前に出すと、平地を速度を変えずに力一杯走るのに向いています。逆にヒザが後ろにある方が加減速がしやすく、長距離をゆっくり走るのに向いていますし、登りも多少楽になります。
この位置は、フレームの寸法と密接に関係する部分で、シート角度が立ったフレームはヒザが前に出た「前乗り」にしやすい。TTマシンやトライアスロン(ロング)、ピストなどですね。
逆にランドナーなどはシート角度を寝かせた設計にすることが多いですね。ロードレーサーは、その中間ですが、小さいサイズのフレームだと、このサドル前後位置が出なくて困ることが多々あります。トップチューブを短くするためにシート角度を立てることによるものです。
サドルクランプがなるたけ後ろに付いたシートポストを選んだり、しまいにはクランプの前半部分を加工してサドルが下がるようにしたり、涙ぐましいですよ。
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ついでに。サドルの前後位置とサドルの高さはリンクしています。前後位置を変えたら、サドルの高さも見直しましょう。後ろに下げたらサドルは低くします。前に出したら、その分、高くしても大丈夫ですよ。
2008/10/12

高く遠く(ポジション編・6)
サドルの位置が決まったら、ハンドル位置の点検をしましょう。
ブレーキレバーのブラケットを握って胴体と軽く真っ直ぐに伸ばした腕の角度が90度以上、軽く顔を上げた状態で視界が確保できるポジションになるのが基準です。
初めて乗る方にはかなりハンドルが遠く感じるはずです。頭を支えるのに疲れて首が痛くなったり肩が凝ったりすると思います。
最初は少し近いポジションで走り、慣れたらステムを伸ばします。乗り込むにつれて、体幹の筋肉が付いて遠いポジションでも楽に乗れるようになります。
ロードレーサーは様々な状況の中を走りますから、とにかく自転車を自在に動かせてなおかつ力が出るポジションが必要です。そのためにはハンドルを「高く遠く」にセットするのが理にかなっています。ひとりで走っておられる方にハンドルが近いポジションをよく見かけます。ハンドルが近いと取り回しやすいように思えますが、それでは体が立ってしまい、機敏な動きはできません。
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以上の理由から、自転車のサイズを選ぶ際、シートチューブ長よりもトップチューブ長の方がむしろ大切と思っています。トップチューブ長を考えずにサイズを決めるショップは全く信用できません。
それとポジションが決まるまで、ステムは何度か交換するものと考えて下さい。フォークコラムもいきなりギリギリで切ってしまわず、2cm程度は余裕を残しておきましょう。
2008/10/14