自転車の趣味にはまってしまった人なら、誰でも憧れるのがフルオーダーの自転車。体格、走力、趣味に合った自分だけの1台というのは何ものにも代え難い魅力です。昨今のクロモリブームで昔ながらの職人さんが誂えるオーダーフレームは大変な人気だそうで、ブランドによっては1年以上待たされることも当たり前、どころか受けてもらえたら幸運とまで言われています。
ともあれ、いつかは乗りたいオーダー自転車。それなりの金額を
はたくのですから「こんなはずじゃなかった」と後悔はしたくないものです。

<ショップを選ぼう
オーダーしたい自転車のイメージが固まったら、いよいよ発注です。
スポーツ用自転車がまったく初めて、という方はほとんどいらっしゃらないと思うので、それなりに行きつけのショップがあるでしょう。そこがオーダーを受けていたらよし。そうでない場合も、まずその店で相談しましょう。
良心的なお店、というのは必ず知恵を貸してくれます。ユーザーとしても、行きつけのショップを大事にすることがメンテやその他で大きなメリットがあります。
「何が何でも、どこぞのブランドがほしい!」。そーゆー場合は、そのブランドを扱っているショップにお願いするしかありません。問い合わせも、電話などで済ませず足を運びましょう。簡単に受けてもらえるショップもあるかも知れませんが、たいていは一見さんは後回し。そういうブランドは人気が高くて大量のバックオーダーを抱えているでしょうから仕方ありません。誠意を見せるしかないです。
2011/6/3

サイズより先に
材質、サイズ、色、パーツ……。オーダーするためには様々なことを決める必要がありますが、それよりも大切なのは「どう使いたいか」「どんな乗り味を求めているか」をはっきりと伝えること。
こうしたことはその人の体格、体重、走力といった個人的な要因にパイプの材質や厚み、スケルトンなどを考慮したうえで決まるものです。競輪選手ならいざしらず、素人が「サイズ云々、パイプ云々」と言って思い通りのフレームができるほど簡単なものではありません。
ショップに足を運んで体格を見てもらい、「6時間乗っても疲れない優しい自転車」とか「下りでガンガン攻められる自転車」とかイメージをまず伝えましょう。それができるのがオーダーの醍醐味です。練習会などで走力を把握してもらったら、さらに良いでしょうね。
2011/6/3

フレーム編
スケルトンの基礎知識・1総論
精神論、心構えばかりでは講釈にならないので(オーダーはできるけど)、やはり基礎知識ぐらいは知っておった方が、ショップの方との話も弾むでしょう。
とゆーことで各論。各部の寸法の意味や、サイズが変わることによる変化などを見ていきましょう。
フレームサイズは、ボトムブラケット(BB)中心からシートチューブ上端まで(C-T)、またはトップ、シート両チューブ中心線の交点まで(C-C)の、いわゆるシートチューブ長で表記している、というのは皆さんご存じ。
同様にトップチューブ長、シートアングル、ヘッドアングルあたりは説明不要ですね。
その他、ハンガー下がり、リア・センター、フロント・センターなんてのも関係してきます。さらにはとっても難しいトレイルなんて話もしなければなりませんが、取りあえず基本的なところからから見ていきましょう。
シートチューブ長
寸法出しのマシンをつかったり、足や手など各部をメジャーで測るなどショップによって流儀は違いますが、完成車よりもかなり許容範囲を小さく取ります。とゆーか、完成車の「適合サイズ」ってのが範囲広すぎなんだけどね。
サイズの変化による違いは、他の寸法よりも目立たないけど、次の通り。
大きい小さい 剛性強くなる
乗り心地悪くなる
小さいフレームの方が取り回しやすくてサドルも上がるし、いいんではないか、と思われる方も多いようです。でもフレームを小さくして剛性を上げたつもりが、長く出たピラーのおかげで帳消しになる、なんてことも起こります。体格と密接に関係するのであんまり極端なことはしない方がいいですね。
スケルトンやパイプの材質等は利点と欠点が必ず裏表、行って来いの関係にあるということ。「掛かりが良い」フレームはタレて来た時に辛くなるし、乗り心地がよいフレームは往々にしてキビキビとは走らない。トレードオフ、相反する要件にどう折り合いを付けるか、ってのがショップの腕の見せ所なんですね。
もうひとつは、それぞれの要素が複雑に絡み合っているということ。剛性を上げるには硬いパイプを使うだけではダメで、それに見合った各部のサイズやどうかするとパーツまで考慮しないと効果は上がらない。実に微妙なバランスで成り立っておる、ということです。
2011/6/18