自転車の趣味にはまってしまった人なら、誰でも憧れるのがフルオーダーの自転車。体格、走力、趣味に合った自分だけの1台というのは何ものにも代え難い魅力です。昨今のクロモリブームで昔ながらの職人さんが誂えるオーダーフレームは大変な人気だそうで、ブランドによっては1年以上待たされることも当たり前、どころか受けてもらえたら幸運とまで言われています。
ともあれ、いつかは乗りたいオーダー自転車。それなりの金額を
はたくのですから「こんなはずじゃなかった」と後悔はしたくないものです。

パーツ選択・好きに選んでいいけれど>
家庭では完全放し飼い状態で、四六時中ショップにたむろしているためかオーダーに際しての相談を受けることがあります。
フレーム材質に次いで多いのがパーツ選択。オーダーだと何か選び方も難しいのではないか、という不安があるらしい。
で、結論は単純。「好きに選んでいいですよ」。
20世紀に入ってすぐ、現在のような3本のメーンパイプ(ヘッドパイプもあるけれど)で構成した「ダイヤモンド型」フレームが生まれてこのかた、スチール系フレームは連綿と造り続けられているのだから、いつの時代のパーツを組み込んでもそれなりに雰囲気があるものです。これが最近のカーボンフレームだと、古いパーツを組み付けようったって似合いませんわね。
予算が少なくて手持ちのパーツがあるのなら、キャリーオーバーすればよし。ブランニューなら自分が気に入ったコンポで組めばよし。迷ってらっしゃる方には南米商会ブログの人気コンテンツ「NAMBEIフルオーダーの例」が参考になると思います。
ただし、20年以上前のクラシックレーサーを再現しようとするとちょっとコツがいります。その辺は別項で。
2012/9/22

車輪・走りの要に妥協なし
スチール系フレームには、どんな車輪が似合うだろう? というのも良く受ける相談のひとつ。手組ホイールしかなかった時代と違い実に様々な完組ホイールが出回っていますからね。
普遍的なアドバイスはただひとつ。「車輪に予算をけちるな」。
WOだチューブラーだスポークの数だリムハイトだカーボンだアルミだコンポジットだ、なんてその人の走り方によって千差万別。完組ホイールは性格もはっきりしているし、上の項でも書いたように意外とどんなホイールでも似合うもんです。自分がどう走りたいかをショップに伝えて、選んでもらえば済む。けんども価格差だけは歴然として乗り越えられない。2万の普及品より5万の中級品、それよりも10万超のトップグレードの方が精度も剛性感も軽量感も、はっきりと上ですな。予算が足りないなら、他のパーツのグレードをひとつ落としてでも車輪にお金をさきなさい。
乗り手の力量が同じなら、走りの良し悪しは8割方車輪で決まる。
手(札束?)を抜くと、本来のパフォーマンスからけちった分だけマイナスになると考えてよろしい。まぁそれが行きすぎて、写真のような有り様になっても別の意味で困ったもんだが…。
2012/9/29

車輪2・千差万別選り取り見取り
「良いホイールを使え」って書いた手前、具体的な話が少しはないと無責任だな。しっかし、機材の進歩は驚くばかりで実に様々な種類の車輪が出回っております。年ばっかり食っている古狸はそれなりに理解しているが、始めて間もない方はどれを選んでよいのやら混乱すると思う。ちょっと整理して、多少なりとも車輪選びの参考になれば幸いです。
@タイヤの構造別 やったね ちょっとね
WO(クリンチャー) ・パンク修理が簡単
・維持費が安い
・(チューブを選べば)空気が減りにくい
・(一般的に)乗り心地が硬い
・パンクしたら外れやすい
チューブラー ・乗り心地がしなやか
・(高級品は)グリップ特にコーナーで良い
・パンクしても外れない(くっつけてるもんな)
・パンク修理は事実上不可能
・維持に手間と金がかかる
・高級品は空気の減りが(ものすごく)早い
チューブレス ・WOよりはしなやか
・空気が減りにくい
・維持費はかからん
・パンク修理は難しい
・タイヤを装着するのがすごく難しい
・タイヤの選択肢が(今のところ)ごく少ない

Aスポーク構造別
手組み ・乗り心地がよい
・見てくれがよい(主観の差あり)
・修理が簡単
・(完組に比べ)掛かりが悪い、もっさり
・比較的重い
・空気抵抗が大きい
完組 ・剛性が高い
      (ので、掛かりが良い。コーナーも強い)
・空気抵抗が少ない
・性能の特徴を出しやすい
 (とんがった製品が多いのでバラエティに富む)
・軽量にできる
・(概して)乗り心地よりも性能優先
・修理が面倒

Bリム素材別
アルミ ・扱いが簡単
・天候に左右されにくい
・比較的重い
カーボン ・軽い
・剛性が高い(ので掛かりが良い)
・雨に弱い(ブレーキの際、空走感がある)
・専用シュー(概して高い)が必要

Cリムハイト別
低い ・扱いやすい
・風に強い
・軽い
・エアロ効果は望めない
高い ・中、高速(35km/h付近から上)でエアロ効果
・実は登りに強い
・横風に弱い
・比較的重い

と、見ていくと実に多種多様でありますな。これでも類型的に仕分けただけで、最近は例えば、アルミ芯材にカーボンで補強してアルミの良さを残しつつ剛性と軽量化の両立を図ったもの(DURAの完組ね)とか、スポークの張り方を変えてエアロ効果の向上を図ったもの(カンパのG3ね)とか、実に様々な工夫がされておるので、ホイール選びは実に難しい。
乗り方と目的に応じて考えるしかないので、例えば
クラシックにきれいに(走りは二の次)
=>手組み+チューブラー
そこそこ走る汎用
=>ハイトの低い完組アルミリム。
登坂、平地に特化したい
=>目的に応じた完組。
てのが基本線で、あとはお好きなように、というところですかねぇ。なぁんかつまらん結論になっちまっただ。
2012/11/10