白ベイ赤ベイ
FIXEDの悦楽」などでおなじみ名古屋在のベテランNさんから、新たなコンテンツをいただきました。
わざわざ福岡西部の藤崎まで足を運んでNAMBEIピストラーダをオーダーされたNさん、最近、2台目のNAMBEIを発注、無事完成して手元に4台のピストラーダが並ぶことになりました。
オーダーしたNAMBEIの試乗記が南米商会のブログに掲載されていますので、そちらをご覧下さい。オーダーするに至った経緯や最近の輪界のことなど、ビョーキと良識と、ひとつまみの狂気(&驚喜)で出来ている趣味人の本音です。

オーダーの顛末
去年(編注:2013年7月)の今ごろ、赤いナンベイ(以後『赤ベイ』と略す。赤米:『あかまい』と読まないでね)を某サイクルのオジサンに見せびらかしに行ったとき、「ピストがそんなに好きなら、うちにもこんなパイプがあるよ」と取り出してきたのが、『コロンバスPS』でした。オジサンによると、『コロンバスPL』というパイプもあったそうです。
『赤ベイ』が完成したばかりだというのに、思わず「これいくら…?」と…。
「う〜〜ん、○万円プラス消費税」
見境もなく買ってしまいました。こういう時は、自転車のパーツがジジイ(もはやオヤジとは言えません)にとって手の出せない価格ではないことが、かえって災いしますね(最近のパーツについてはよく知りませんが…)。レジでヤ○シ君(某サイクルの番頭さん的存在)に「何買ったんですか?」と聞かれ、「へへへ…、『コロンバスのPS』」と答えたら、ヤ○シ君、心底呆れかえった声で「ビョ〜〜キ」。
見せびらかしに行ったのに、見事返り討ちにあってしまいました。恐るべし、オジサンのオールド・バーツ・コーナー。
帰りの車の中で(11本もの鉄パイプを積んでいますから、お巡りさんの職務質問にあったら間違いなくアウトです)、「『コロンバスPS』のPはピスト、SはストロングかスタンダードのSで、PLのLはライトかレゲロのLか(編注:「S」は「sprint」のSです)と…。そして「そっか、『コロンバスSL』(編注:ロード用パイプの伝説的名品)のSはストラーダのSで、LはレゲロのLか…」と気が付く始末。四半世紀以上も自転車に乗っていて、今頃こんなことに気づくなんて・・・。

はてさて、パイプだけじゃ「どぉ」にもなりません。パーツを何とかしなくちゃ。車種はピストラーダ。ロードはパーツの進歩が速すぎて、とてもついていけません。最近は11速や電動変速機が当たり前らしい。
その昔、6速をダウンチューブのフリクションレバーで扱っていたジジイは、この際潔くスプロケットは1枚。まぁ、「年よりの冷や水」と嗤ってやってください。
ピストラーダもカンパで3台作ったから、今度は国産パーツで纏めたい。シ○ノはどうも好きになれないから(何の根拠もないんですが…)、今は亡きサンツアー;前田工業で…。てなことをオジサンに話していたら、出てくる、出てくる。シュパーブ(編注:1990年代初めまで売られていたサンツアーの最高級品、デュラエースの向こうを張り、ファンも多かった)のチェーンホイール(多分スギノからのOEM)、ラージハブ(多分サンシンからのOEM)、二本締めピラー、ブレーキレバー、鉄のヘッド小物、ローヤル・グランコンペのブレーキアーチ(『吉貝』がサンツアーにOEMしていたはず)、ニットー(日東)のハンドルバー(モデル55)とステム(クラフト:競輪用「ジャガー」の復刻版)が、「あっ」という間に揃ってしまいました。サドルはローラー台の上で半年以上馴らしたブルックスの『スイフト』があるから、それを使えばいいやと…。
リムだけはチューブラーにするか、WOにするかで迷いました。この時代はチューブラーが主体で、WOの良いリムがありませんでした。『カンパのモントリオール』というリムが良いということを、南米商会さんで聞いたことがあったので(うろ覚えです)、オジサンに在庫を訊いたのですが、「多分ないよ」という冷たいご返事。
「なんか良いWOのリムないの?」ときいたところ、「これなんかどう?」と出してきたのが、ウオルバーのリム。「スーチャン(スーパー・チャンピオンの略、『キャンディーズ』ではありません=編注:1980年代まで辛うじて生き残っていたフランス製リム)がウオルバーに吸収されたころの物だから、両方の名前が入っているでしょ。これがスーチャンのラベルだったら、もっと高いよ」と…。
旧マークのマビックGP-4と真剣に迷いましたが、オジサンの「このリム(ウオルバー)でスポルティーフを作ってみたいね。」という一言で、ウオルバーにしました。「お前が作るのはピストラーダで、スポルティーフじゃないだろうに…」と気が付いたのは、帰りの車の中(汗)。ヤ○シ君に言われるまでもなく、『ビョーキ』ですね。

パイプとパーツだけじゃ、「どぉ」にもなりません。何とか自転車にしてもらわなければ…。南米商会の薙野さんに電話。「『コロンバスPS』を買ってしまったんですが、自転車にしてもらえますか。」と、お伺いを立てました。フツーはお伺いを立ててから買うだろうに…。
「すごいパイプを手に入れられましたね。確かPSはチェーンステイが、27mmあってハンガーラグに入らない。だからハンガーラグに入るように、端が少し窄めてあるはずです」と、薙野さん。いきなりの電話にもパイプの特徴、仕様が頭に入っておられるのには、驚嘆しました。「27mmのチェーンステイ」が持つ意味も、薙野さんの「すごいパイプ」の真意も解らず、自転車にしてもらうようにお願いし、パイプとパーツ一式を南米商会さんに送りました。それが去年の7月の頃。
色は紅白で揃えたかったので、白。スケルトン、工作は『赤ベイ』と同じでお願いしました。白いナンベイですから『白ベイ』(白米;『はくまい』って呼ばないでね)。
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待つこと1年。その間にジブンにもいろいろありました。『白ベイ』のオーダー直後に、突然のめまいとモーレツな気分の悪さ。MRIでは脳には多少「鬆が入っている」以外、特に問題はない。耳鼻科でも特に眼振などの異常は認めないとのこと。先生からは「疲れとストレスと脱水でしょう」というご託宣。やむなく4日間の休診。開業以来20年、突然休んだのは、これが初めてでした。
それに加えて緑内障で、右眼の視野欠損。幸いなことに中心視野が確保されていたので、視力は出るには出ている。でも左眼との差がありすぎて、まぁ、疲れること、疲れること。一時は、自転車は勿論、車の運転ももうできないかと思うほどでした。
それ以外にも、職員がダンナの転勤や出産で退職。さらには長男の病気などなどいろんなことが重なり、何度、オーダーをキャンセルしようと思ったことか・・・。でも『白ベイ』が来たら、きっと運気も変わると・・・。
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先日、薙野さんから「お待たせしましたが、完成しました」とのご連絡。これを機会に運気が上向くと良いんだけどなぁ・・・。