始めに
以下は全て私の独断と偏見である。一部(あるいはほとんど)、史実、定説と異なるかもしれないがあしからず。
今年は五十三次の410周年である(注1)。五十三次は日本人の旅の原点である。江戸時代以前の日本は、ほとんど人々が遠方へ移動することもなく、旅の概念もなかった。
戦国の世が終わり、江戸時代になって徳川幕府による統治、政情安定経済的発展、人口の増加、元禄文化の隆盛により庶民の楽しみのひとつとして旅が始まった(注2)
お伊勢詣り、金比羅詣り、霊場巡り、お遍路八十八か所巡り、そして五十三次などの街道の旅である。参勤交代のための街道、宿場の整備も進み、大名、武士も庶民もこぞって旅を楽しむようになった。私の好きな水戸のご老公様(幼稚園の頃から好きだった)も諸国漫遊の旅に出た(注3)
この日本人の旅の原点、五十三次、江戸時代の旅人の足跡を辿ってみたかったのである。それも自転車で。実は私が長年温めてきた夢でもある。
今回「遠くへ行きたいシリーズ」で、初めての東日本ということで、確かに行き帰りは大変である。しかし日常の文明生活から離れ、400年前にタイムスリップして、江戸の人々の視点での旅を楽しもう。
この道中には、まぁどうちゅうことでもないが(注4)、五十三の宿場町とそれ以外にも近世日本の多くの文化遺産、名所旧跡がある。1日平均100kmぐらいなのでゆっくり存分に見て回るつもりである。
先を急ぐ旅ではない。峠の茶屋で茶を飲み名物の団子を食べたり(水戸黄門の八兵衛のように)、旧街道の石畳を押して行ったり、まあのんびり行こう。
一部は国道1号線を走ることになるが、なるべく旧街道を選んでいく予定である。新幹線なら3時間で行くところを6日間、足かけ3年間で全行程を走り遂げる。それもまた良いではないか。
旅は道連れ世は情けという。何かの縁で南米の仲間達と旅ができる。袖触り合うも多生の縁という。旅先での人々の人情に触れ旅情を楽しもう。一期一会という出会いを大切にし心に刻み込もう。ちなみにかつて私は苺をひとつの絵に描いたことがあった。これもいちごいちえである。

注1
慶長6年=1601=徳川家康が代官頭彦坂元正に命じて宿場を調査させ東海道宿を制定したことにちなむ。
注2
これ、ホント。現代の人が考える以上に庶民でも旅(たいていが宗教を建前にはしていたようですが)を楽しんでいたようです。
注3
残念ながらこちらはフィクション。明治の講談師、玉田玉治の「水戸黄門漫遊記」が直接のルーツ。さらにたどれば宝暦(1700年代半ば)ごろの「水戸黄門仁徳録」あたりが根っこにあるようです。
注4
時々弾けますが冷静に読むように。登坂で喘いでいる途中にかまされるよりはマシ