明治38年創業、わずか500石と小規模な蔵で、戦後、独自のブランドで出すようになってあんまり年数は経っていないはず。「利八」は商売を大きく広げた二代目の名前にちなんだもの。
指宿の焼酎らしく、柔らかく軽い割にはしっかりしたボディがある優しい飲み口なので濃いのは苦手、という方でも湯割りが楽しめると思います。
この焼酎、常圧蒸溜ですが「コルニッシュ蒸溜釜」という珍しい蒸留器を使っているようです。横置きした水缶内に円筒形の燃焼室を突っ込んで中央から熱を加える仕組みで、ボイラーとしては大変旧式なもの。メンテナンスは簡単だけれど熱効率が悪く今では廃れた形式です。熱効率が悪いことが幸いして、ゆっくりと蒸溜できることがこの優しさを生んでいるんでしょうな。
利八 吉永酒造有限会社(指宿市十二町645)
2011/11/5

薩摩半島北部の中央部、紫尾山(1066m)一帯は、良質の地下水が豊富な地域。ここもうまい焼酎の産地であります。(って鹿児島はどこもそうだが)。さつま町、と言われてもピンと来ない人には「宮之城(みやんじょぉ)」と言えば分かる。
この蔵の標準酒が「紫尾の露」。白麹を使って甕で仕込んだ甘み豊かな焼酎。香りも良く上品なので、慣れない方にも比較的良いかも知れない。私の周辺ののんべぃどもは「薄い?」などとほざいておりますが、それは軽さのせい。
ところでこの蔵、白麹ばかりで流行の黒麹や変化球の黄麹などの製品を出してないんですね。白麹のほっこりとした柔らかさにこだわっているんでしょうか。
また竹筒に入れた焼酎を出しています。鹿児島勤務時代、これを飲ませていただいたことがありますが、竹の青い香りと焼酎が不思議にマッチしてうまい。いつか取り上げられれば、と思います。
そうそう、ここは3代目の娘さんが杜氏の責任者として活躍しています。グルメ漫画の走り「おいしんぼ」にも取り上げられたことがあるので、ご存じの方も多かろうと思います。
紫尾の露 軸屋酒造株式会社(さつま町平川1427)
2011/11/06

鹿児島県内限定販売「かいもしょちゅ」の蔵の標準酒。「かいもしょちゅ」ほど磨き込んだ感じはありませんが、ほんのりと甘くて柔らかい上品な味わいです。幾度となく書いているように標準酒は蔵の実力を示します。変に高級品に手を出さなくても焼酎のうまさは十二分に味わえますよ。
ところでこの蔵のホームページを見ていて発見。「米麹造りには国産米かタイ米を使う〜レギュラー品にはタイ米を使う」とはっきり書いているんですね。レギュラー品にはタイ米を使わなければならない理由がちゃんとあって(味の優劣じゃない)そうしているんですが、誤解を招きやすいのであえて触れない、ってのが普通です。(でもどっかで紹介した方がいいかな?)
それをちゃんと書いている姿勢は好感が持てます。
ところで名前の「白金」ですがプラチナではありません。「しらかね」で、「銀」のこと。
蒸留器、ここは木樽を使っていますが蛇口が銀色に輝いていることから来ているようですね。
白金の露 白金酒造株式会社(姶良市脇元1933)
2011/11/19