うまい酒は、洋の東西を問わずウオッカのようなごく一部を除いて、必ず良い香りがするものです(開栓後2、3日掛かるってのも多いが…)。特に球磨焼酎は開栓するとすぐにフワッと甘い香りが広がる気がしますね。同じくコメが原料の泡盛よりも香りにクセが少なく、焼酎に慣れない方でも水割りやロックで飲むと十分にいただける。超極辛口の日本酒をイメージしていただければよいかと。
これもその典型。減圧で蒸留しているのでしょう。やや琥珀色が強く、口当たりは大変すっきりしていて香りも優しい。それでもしっかりした味わいがあるので呑んべぇも満足させられる実力派かな?
まぁ球磨焼酎はたいていがうまいけどね(例外もあるよ(^_^;))。
ちなみに、この蔵の初代「松岡文助」が明治初期に造ったのが球磨焼酎の始まりと言われておりますね。
古蔵(こぞう) 松の泉酒造合資会社(熊本県球磨郡あさぎり町上北169番地1)
2012/6/23

「げんちいも」という昔ながらのイモを原料にした高級焼酎。さらりとした甘味と香りで大変飲みやすい上品な味わい。薩摩川内一帯の焼酎はどちらかというと重たく、強く辛いという印象があるんですが、これはまったく違いますな。
「げんちいも」というのはコガネセンガンのような白系品種が普及する以前に使われていた紅系のイモ。ゲンチとなまると分からんが、「源氏イモ」といえば、焼き芋などでお世話になった年配の方もいらっしゃるのではないか。収量があまり多くなく、病害虫にも弱いため、焼酎の原料用やデンプン採取用としてはあっという間にコガネセンガンに取って代わられました。
醸造技術の進歩とユーザーの味覚の多様化で、これまでは採算が取れずに見向きもされなかった少数派のイモを使った製品が数多く出回っています。それぞれレベルが高く、外れ、に当たったことがない。酒飲みにはうれしい時代ですね。
さつまげんち オガタマ酒造株式会社(鹿児島県薩摩川内市永利町2088 )
2012/7/28

こないだ、行きつけの焼酎居酒屋で、初めてのお客さんらしい方から「いかにも芋焼酎らしい銘柄を飲みたい」とオーダーを受けたマスター、あまたある(何せ常時150銘柄はあるって店なので)中から「その棚にある、寿八幡ですね」と即答! 万之瀬川を挟んで対岸にある2つの蔵の銘柄が、プロの眼にはそう映っているんですね。
これはそのうちの八幡の無濾過バージョン。どこまでも味が深くて濃くて、それでいて優しい。
濾過しないと芋焼酎らしい味わいは出るけれども、雑味もお供してくるので素性に自信がないと商品化は難しい。これはそんなことを全く感じさせない出来栄えで、好き者の間で超貴重品扱いされるだけのことはありますね。手に入れること自体、大変困難だし。
ただし、普通の八幡ではあまり感じないタクワン香がはっきり分かるので、焼酎を飲み慣れない人には無理(だと思います。飲ませてみらんと分からんが…)です。このタクワン香も、透き通った軽い感じなので、決して(個人的には)やな匂いではありません。この辺の話をマスターとしたら「飲み慣れない人に飲んでいただく焼酎じゃないですね」と言われましたです。ハイ。
ナースマンさん、毎度おいしー焼酎をありがとーね。(*^_^*)
はちまん ろかせず 高良酒造有限会社(鹿児島県南九州市川辺町宮4340)
2012/9/16